株式銘柄スクリーニング・手法|
株式銘柄スクリーニング・手法|第1四半期進捗が良い銘柄の株価は上昇するのか?
第1四半期実績が良く
進捗率が高い銘柄の
株価は上昇するのか?
第1四半期の業績がよく、経常利益の予想に対する進捗状況がいい銘柄は株価上昇する傾向にあると思いませんか?
本当かどうか検証してみました。
第1四半期進捗がよい銘柄の株価は上昇するのか??
第1四半期決算で良好な業績が確認された企業は、通期決算も会社予想に対し上振れの可能性が比較的高いため、期末にむけて株価の上昇傾向が続くことがよくあるといわれています。
一般的にはこのような認識が浸透しているようですが、本当なのでしょうか?
これまで株価動向について通説のように言われてきたことは残念ながらあまり検証されていないように思います。
そこでFxLogBookのバックテスト機能を使用して検証してみました。
どのようにスクリーニングするのか?
まず、基本条件設定です。
今回もバックテストを行いますので、「検索基準日」にチェック、基準日を「2021年8月」に設定し、検索対象を「バックテストを含む」に設定します。
市場は「プライム」を選択してみました。
決算月については、検索を行う際に内部ロジックで検索基準日時点で入手できる直近の本決算及び四半期決算情報を参照しますので、特段指定しなくても問題ありませんが、検索基準日が8月末の場合は2月決算、4月決算の第一四半期が含まれる可能性がありますので、これを避けるために3月にのみチェック入れています。
次に財務条件の設定です。
財務条件1で、「経常利益」を選択し、次に「四半期進捗」を選択します。
下段に各四半期毎の進捗度を入力します。
今回は3月決算の第1四半期進捗を確認しますので、1Q進捗の欄に35%と入力します。
これで検索基準日時点で発表されている期末業績予想に対して35%以上進捗している銘柄を検索してくれます。
仮に1Q決算発表と同時に業績予想を修正している場合には、その修正された業績予想に対する進捗度となります。
基本設定で決算月を指定せずにここで第1四半期進捗だけでなく、第2四半期進捗、第3四半期進捗を入力すると検索基準日直近の各四半期の進捗状況を検索してくれます。
また、進捗度を入力せず、0%とした四半期については検索対象としていませんので、検索したい四半期の進捗のみ入力してください。
ちなみに1Q進捗の欄に30%とした場合には、下記のように747件ヒットするので表示件数を減らすために35%としています。
これで設定は完了ですので、スクリーニングを実行してみます。
バックテストの結果は?
実行結果です。
260件ヒットしました。
あまり状況は芳しくないようです。
1ヶ月後の6月末は上昇銘柄数が260社中184社と勝率は高めですが、平均の上昇率は日経平均の4.85%の上昇に対して、3.58%。
その後の経緯を見てもあまり良い結果とはいえないようです。
ちなみに、2020年8月末、2019年8月末でも試してみました。
まずは2020年8月末時点。
日経平均に対する上昇会社数である勝率はそこそこですが、株価変化率が日経平均の変化率を下回っており、あまり優位性が高いとは言い難い状況です。
次に2019年8月末時点。
当初半年は上昇している銘柄数がかなり多いようです。ただし平均上昇率としては日経平均並みですのでこれも優位性があるかというと微妙なところです。
なお、2020年2月以降はコロナ影響が出てきていますので、あまり参考にならないかもしれません。
--結論--
業績進捗が良い銘柄の株が上がるというのは周知の事実ですが、良い業績進捗が発表された場合、株価は翌日の始値から上昇するので発表前の株価で購入することは困難です。
そのため、業績進捗がよい銘柄をスクリーニングしても、それだけでは明確な優位性が確認できないという結果になっています。
また、業績進捗が良いだけでは対象銘柄数が多すぎて絞り込めないという問題がありますので実際に業績進捗を元に銘柄を選択するためには他の条件を加えて銘柄を絞り込む必要がありそうです。
FxLogBookの株式銘柄スクリーニング機能を利用したいと思ったかたはこちらからどうぞ